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よもやま話17なお続く不況

マリア像

ブルが終わってからのゼネコンの生き残り方は様々ですが、施主側も未来に向け、社会的な問題を残しているような気がします。

昨年暮オープンした愛知県岡崎の某ゴルフ場。有名なプロゴルファーを招待しての設計でした。クラブハウスは北欧調で、その中庭の8角形の噴水に大理石モザイクが取り付けられる予定だったのです。

5月の連休を返上し総勢6人。遠くからの応援を含め宿泊ホテルもとり、制作の準備を致しました。施主側のデザインの決定に時間をとられ、大幅に制作期間がなくなり、人手を確保せねばならなかったのです。 厳しい日程でした。工事引き渡しが5月20日ですので、5月17日納品をメドに仕事をすすめていました。

しかし突然、ほぼ仕上がったところで仕事を中断することになってしまったのです。 ゼネコン側が「そんな予算はとってない」と言い始めたからです。

その後、下請けのタイル業者などに鉾先を向けた様ですが、どこもそんな予算はありません。そして誰も責任を取ろうとしないまま、なしのつぶてとなってしまいました。 デザインに納得しない設計に、言われたように描き直しました。

再三「施主の希望でもあるので」と言うことで描いたデザインの数は、有に20点近く超えていました。そんな過程を経て、やっと制作を開始したのです。 希望を聞く度にデザインがこり、手間が増えていきます。

途中、予算はあるのでしょうかと、失礼と思いながら質問しました。「とにかく良いものもきちんと造りたい」という方針でした。「予算もとってある」と……。 そしてしばらくたち、金額が提示されました。「当所の金額の30%で了承して欲しい。何も入らないより、ましでしょう」

職人のプライドが許せません。納品はお断りしました。心をこめて、皆と制作してきたものを、やさしさのかけらもない方々に、もっていかれるのは、つらすぎます。

あまりの情けなさに、愕然とする私に、いつもそばで応援をしてくれる母が「貧すれば鈍する。今の日本は残念だけど、このことわざ通りなのよ」となぐさめてくれました。

しかし苦しい。母のことばの後悔やし涙を母にみせずと一言。「武士は食わねど高楊枝」 その後この会社は、東証1部へ上場を成しとげたそうです。

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